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能楽鑑賞日記

2018年2月9日(金) 万作の会狂言の世界
会場:有楽町朝日ホール 19:00開演

解説:野村萬斎

「寝音曲(ねおんぎょく)」
 太郎冠者:野村万作、主:深田博治     後見:月崎晴夫

「弓矢太郎(ゆみやたろう)」
 太郎:野村萬斎
 当屋:高野和憲
 太郎冠者:月崎晴夫
 立衆:竹山悠樹、中村修一、野村裕基、岡聡史
      後見:深田博治

 最初に萬斎さんが出てきて解説。
 今日は、裕基くんが追加出演することになったそうです。まだイギリスの学校は休みですか?「弓矢太郎」の立衆に出ますね。
 「寝音曲」で膝枕の話になったら、秋葉原で膝枕で耳かきしてくれる店があるそうですが、って、そんなこと良く知ってますね、メイドカフェとか好きなんじゃない(笑)
 「寝音曲」で謡う謡は、「大原木」と能『海人』から「玉ノ段」だそうです。謡の内容ついての説明もありました。
 「弓矢太郎」では、天神講のことを天神クラスタと(笑)。臆病なのに空威張りをする太郎を皆で脅かしてやろうという話になり、最初に「玉藻前伝説」の話をし、天神祭りで鬼に出会った話になって、太郎を天神の森に肝試しに行かせることになり、皆帰ります。この曲は狂言には珍しく二幕物になってるとのこと。後半はがらっと変わって天神の森になります。

「寝音曲」
 主人に謡を所望された太郎冠者は、いつも謡わされてはかなわないので、酒を飲まなければ声が出ないとか、妻の膝枕でないと謡えないなどと嘘をつきますが、どうしても謡が聞きたい主人は、太郎冠者に酒を飲ませ、自分の膝に寝かせて謡わせます。太郎冠者は寝ている時は謡えるのに起きると声が出なくなるようなふりをしますが、調子に乗って取り違え、膝枕の時に声を出さず、起こされた時に声を出してしまいます。挙句の果てには謡いながら舞いだし、すっかり嘘がばれて叱られてしまいます。

 寝ながら謡い、起こすと段々声が引きつったようになって出ないふりをする。普段とは違う寝ながら謡うというのは、なかなか大変なことなのだそうですが、80代後半の万作さんがまったく歳を感じさせない謡なのが凄いです。主人が寝かせたり起こしたりしているうちに反対になっちゃうところの主人と太郎冠者のちょっとトボケタ駆け引きみたいなところが笑えます。

「弓矢太郎」
 連歌の天神講の集まりで、太郎は臆病だがいつも弓矢を携えて強がっているので、仲間たちは恐い話をして太郎を脅かすことにします。そうとは知らず、いつものように勇ましい姿で現れた太郎は、狐の執心の話や天神の森に出た鬼の話を聞かされて目を回してしまいます。息を吹き返すとなおも強がりを言う太郎に、仲間は天神の森に鬼がいるという噂を確かめに行くよう持ち掛けます。仲間たちの一人が太郎を脅かしてやろうと、鬼の面をつけて見張りにいきますが、太郎も恐がって鬼の面をつけてきたので、互いに出くわして目を回してしまいます。先に気が付いた太郎は事情を察し、様子を見に来た仲間を脅して追って行きます。

 強がっているけれど、ホントはビビリな太郎がいつもながら萬斎さんにピッタリのはまり役で大笑い。昔は薄暗い松明だけで、真っ暗闇の天神の森で同じ鬼の面と格好で出会った二人が驚いて目を回すのも分かる気がします。萬斎さんが解説で鏡面構造になってると言ってましたが、同じ格好の太郎と当屋の動きが鏡に写ったもののように見えますね。後で目を覚ました当屋が仲間に鬼の恐ろしさを言い立てる場面で、橋掛かりの萬斎太郎が変顔や変な格好をして聞いてるのが可笑しくて可愛いww
 裕基くんは声が野太くなってますます大人っぽくなりましたね。それにしても現代っ子らしく背が高くて顔がちっちゃいな。