| 2007年8月22日 (水) |
第39回野村狂言座 |
会場:宝生能楽堂 18:30開演
「水掛聟」 舅:石田幸雄、聟:高野和憲、妻:竹山悠樹 後見:深田博治
「盆山」 男:野村遼太、何某:野村万之介 後見:石田淡朗
「膏薬煉」 上方の膏薬煉:野村万作、鎌倉の膏薬煉:野村萬斎 後見:月崎晴夫
素囃子「神舞」 大鼓:原岡一之、小鼓:森澤勇司、太鼓:小寺真佐人、笛:成田寛人
「薬水」 祖父:野村萬斎、所の者:竹山悠樹、祖父:深田博治、高野和憲、月崎晴夫 後見:石田幸雄
「水掛聟」 いろんな演者で、何回か観た演目。面白くて好きな演目だけれど、高野聟に竹山妻は初めてです。最近、高野さんは女役から聟役が多くなり、竹山さんが女役をするようになったようで。今回は基本に添ったというのか、今まで観たこの曲にしては、テンポがゆっくりな感じでした。竹山さんは、台詞の声がかすれ気味で、発声が苦しそうに聞こえるのが、どうも気になってしまうところ。ちょっと、高野さんの女役がまた観たくなってしまった。
「盆山」 遼太くんが、ずいぶん成長したなあと感じた舞台でした。声、型とも基本を大切にしっかりと美しく。なんか、すっかり狂言師らしくなったなんて思ってしまいました。 万之介さんも足腰の不安を感じることのない舞台で、持ち味を発揮、しっかり遼太くんをフォローして、良い舞台でした。 後見に、淡朗くんが出ていたのも久しぶりで、また淡朗くんの舞台も観たいなあと思いました。
「膏薬煉」 萬斎さんの鼻に付けた膏薬の短冊がすぐ落ちてしまうアクシデントはありましたが(これは、わりとよく有ること)、膏薬の系図自慢や、とんでもない薬種比べなどの大法螺話比べの面白さや、短冊を鼻に付けての膏薬の吸い比べなど、台詞と動きの面白さを堪能。とっても面白かったです。「ホイッ」と近づけた顔を動かし、吸い寄せられて動く時も息が合っていて、磁石に吸い寄せられているみたいでした。
素囃子「神舞」 男体の神様の舞で、早くテンポのいい舞で、好きです。この曲を聴くと、シテの神が舞う姿が浮かんできます。
「薬水」 能『養老』の替間ですが、能の間では、まだ観たことがありません。 始めに所の者が出てきて、山奥の不老不死の泉の謂れを語り、白髭に杖をついた腰の曲がった老人達がやってきます。先頭の老人が養老の水を飲んで若返ろうと言い、老人達は水の湧き出る養老の滝に着き、まず1杯飲むと髭が黒くなり、2杯、3杯と飲むうちに、ますます若返っていきます。 不老不死の水で若返ろうと提案すると女房も呼んでこようとする仲間に、「若返ったら、若い妻を貰えばいい」と言う萬斎老人。他の老人もすぐ同心してしまって(笑)自分達だけで飲みにいってしまいます(しょうもない連中だ)。1杯飲むと白髭が黒髭に、これは白髭の下に黒髭をつけていて、飲むと白髭を取ってしまいます。2杯目では白髪が黒くなったと、頭巾を取り、もっと飲むと、曲がった腰が伸びてきます。でも、飲みすぎて赤子になったら困ると言って、飲み過ぎないようにちゃんと考えてたり、最後はめでたく謡を謡い、舞いを舞って帰っていきます。最後に萬斎老人、囃子にのって、ぴょんぴょんと左右に跳ねてから帰っていきました。 替間らしく、めでたく楽しげで、老人達が若返っていく様が面白かったです。 |
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| 2007年8月19日 (日) |
納涼茂山狂言祭2007 |
会場:国立能楽堂 14:00開演
お話:茂山あきら
「萩大名」 大名:茂山千作、太郎冠者:茂山千五郎、庭の亭主:茂山千之丞 後見:島田洋海
「二人袴」 舅:茂山千五郎、太郎冠者:網谷正美、兄:茂山正邦、聟:茂山童司 後見:増田浩紀
新作狂言「ふろしき」作:帆足正規、演出:茂山千之丞 亭主:茂山あきら、若い男:茂山正邦、女房:丸石やすし、近所の男:茂山千之丞 後見:増田浩紀、島田洋海
なんか、久々の茂山家という感じです。本日は、あきらさんの解説でした。しかし、茂山家の人は話が上手。関西人のせいかしらん。
「萩大名」 この日の「萩大名」は千作さん、千之丞さん、千五郎さんが共演するという、プラチナトリオ。それぞれが大名をやることはあっても、三人が「萩大名」で共演するのは30年ぶりくらいのことだそうです。納涼狂言で観られるのは、お得♪ 千作さんの大名はホントに可愛い。太郎冠者にこっそり教えてもらって、よし解った、というように頷く時の嬉しそうな顔がなんとも福々しくて大好きです。思わず笑ってしまいます。 しっかりした太郎冠者の千五郎さんが、呆れて「こんな愚鈍な人には恥じを与えたほうが良い」と立ち去ってしまうあたりも、いかにも呆れたという感じで、もう面倒見切れないよってところでしょうか。そんな雰囲気を千五郎さんがよく出してました。 千之丞さんの庭の亭主もやはり千作大名の相手としてぴったりです。まったく違う雰囲気を持つこの二人のコンビが、いつも思うのですが、また絶妙です。が〜っと、大きくておおらかな千作さんとちょっと冷ややかで、細やかな芸のある千之丞さん。いつまでも観ていたいコンビです。 千作さんも、このごろ、すぐ息が上がったり、足腰も弱ってきているようで、橋懸かりで待っている時に、後見が葛桶を持っていって座らせたり、床に座ると、立ち上がる時に後見が必ず手を添えるようになりました。いつまで、千作さんの元気な舞台が観られるかなあと思うと、1回1回が貴重です。
「二人袴」 和泉流の「二人袴」よりずっと幼い感じの聟さんなんだけれど、童司くんの聟さんを観るのは二度目ですが、とっても可愛らしい聟さんです。親ではなく、兄がついていく「二人袴」で、正邦さんがしっかりした、それでいてやはり可愛いところのある兄にぴったりでした。袴の後が無いのがバレて逃げて行くのを、「待ってくだされ」と、追いかけていく、舅と太郎冠者。ほのぼのと暖かい人間関係が、いつ観ても、なんともいいです。
「ふろしき」 森田流笛方の帆足正規さんが作った新作狂言で、落語を元にしたものだそうです。新作狂言「死神」も帆足さんが落語をもとに書いたとのこと。そしてどちらも、上方落語ではなく、江戸前の落語からとったものだそうです。 夫が遅くなると言って出かけた、女房の所に夫の弟分の若い男が訪ねてきます。女房は男を家に上げて酒を飲ませ、いい雰囲気になったところに思ったより早く、夫が酔っ払って帰ってきてしまいます。ことのほか焼もち焼きの夫のため、女房はあわてて若い男を押入れに隠しますが、夫はその押入れの前に座り込んでまた酒を飲んで動こうとしません。困り果てた妻は近所の男に助けを求め、男は一計を案じ、風呂敷を持って訪ねてきます。 男は近所の揉め事を頼まれてかたずけてきたところだと言って、今の状況を他の家のことのように話、それと知らない夫は面白がって聞いています。そこで、風呂敷を夫にかぶせ、このように耳を塞いで間男を押入れから逃がしたと、やってみせ、その間に若い男は、まんまと逃げ出していきます。ほっとした女房。夫は、人事だと思って面白がったあげく、とうとう眠りこんでしまいます。すると、やおら近所の男が、女房に言い寄ってきて、断る女房と言い合いになります。夫が寝ぼけたまま、ここは騒がしいと奥の部屋に入り、近所の男は「骨折り損じゃ」と言ってしぶしぶ帰っていくと、残された女房は「もっと若い男ならねえ」というのでした。 結局、男達を手玉に取った女房が一番したたかでしたね。丸石さんの女房だと、そんなに色っぽい女房って感じがしないんですが(笑)。 あきらさんの話では、先代の3世千作さんは一滴も飲めないのに酔っ払いの役がうまかったそうです。それは、酔っている人を良く見ているからとのこと、自分が酔っ払ってしまうと解りませんから。たしかに、飲めないか、やたら強くて、飲んでも酔いつぶれないから観察できるか、どっちかかもしれませんね(爆)。 |
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