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能楽鑑賞日記

2008年1月25日 (金) 新春名作狂言の会 野村万作人間国宝認定記念
会場:文京シビックホール 19:00開演

解説:茂山茂、野村萬斎

「貰聟」 舅:茂山千作、夫:茂山千五郎、妻:茂山茂
                                 後見:島田洋海

「六地蔵」
 すっぱ:野村万作
 田舎者:野村萬斎
 徒ら者:石田幸雄、深田博治、高野和憲
                                 後見:月埼晴夫

 正月松の内も過ぎましたが、新春のめでたい舞台ということでか、シテ柱と笛柱に当たる位置に門松が立てられていました。

 まだ謹慎中の千三郎さんに代わって、萬斎さんとの恒例のトークは茂さんでした。千三郎さんと萬斎さんは歳も近く、仲も良いようですが、茂さんは萬斎さんよりかなり歳も下だし、あまり話をしたことが無いそうで、茂さんは萬斎さんを迎える時「ドキドキしてます」と、だいぶ緊張してたみたいです。荷が重かったんじゃないかな。
 茂さんが先に出てきてトークを始め、途中から萬斎さんが入って、二人のトークの後に茂さんが先に支度のために引き上げ、萬斎さんが後の解説をするという、いつも通りの段どりでしたが、千三郎さんとやってた小舞の競演は無し、さすがに急に茂さんとは無理のようです。
 茂さんは、正月は元旦から奉納狂言で忙しいという話をされ、また、12月の28日が千作さんの誕生日のため、毎年年末の大掃除も3時に中断して誕生祝いをするのだとか、それが去年は本人がセルリアンタワーの能に出演のため居なかったので、誕生祝いがなくて、大掃除が早く終わったとのこと。え!千作さん、暮れから舞台復帰してたんだ!それも東京まで出てきてたんですね。
 さて、萬斎さんを呼ぶ前「どきどきしてるんです」と、何度も言ってた茂さん、ホントに緊張してるみたいでした。
 二人の話は、茂さんの娘さんが、今度「業平餅」の稚児さんで初舞台なのだが、稽古をしてもなかなかシャンとしないので、どうしたらいいかという相談で、互いの親バカ談義。お爺ちゃんはやっぱり甘いらしく、千五郎さんは稽古が終わるたびにビブレに連れていかれ(連れていくのではなく、連れて行かれるそうです)、おもちゃをたくさん買わされるそうな(笑)。
 そのあと、茂さんが「貰聟」の解説をして、萬斎さんが千五郎家の聟は紅白の段熨斗目を上に着て登場するのが珍しい、と言うと、茂さんは「悪太郎」が厚板を上着に着て出てくるのと同じで、酔っぱらって強気になっているのを示しているらしいが、「悪太郎」ほど強いイメージではなく、「赤色」を象徴とするために、紅白の段熨斗目を使っているのだろう、という話。茂さんが先に支度のため幕に入ってから、萬斎さんの「六地蔵」の解説でした。

「貰聟」
 酒癖の悪い夫が、今日も、しこたま呑んできて、酔った勢いで妻を追い出してしまうものの、翌朝、酔いが醒めて後悔し、実家に迎えに行く話ですが、酔っ払い千五郎さん、なるほど、紅白縞の段熨斗目を「悪太郎」のように上に壷折りに着て出てきます。酔った勢いで妻を叩き出してしまいますが、和泉流では別れの印を貰って出ていくのですが、大蔵流では、それはなく、妻が金法師の名を呼んで泣きながら出て行きました。
 千作さんは、骨折以前から脚が弱ってきているようで、ここのところ立ち上がる時にはいつも後見の介添えがついていますが、今日は一回よろっとして膝をつき、ちょっとヒヤリ(汗)。でも、いつもと変わらず声も出ているし、お元気そうでホっとしました。
 もう夫の元には帰らないという娘に、金法師(男の子)がいるのだからと、説得するものの、決意が固いと知って、奥に隠し、連れ戻しにきた聟を追い返そうとします。ところが、影で二人のやりとりを聞いていた妻は子供の話が出た途端、いてもたってもいられなくて出てきてしまいます。それからは返す返さないで取っ組み合いになった二人に「舅の足をとれ」「聟の足をとれ」と言われ妻は夫の足をとったり、父親の足をとったり、でも、最後には夫と二人で親を倒して、「のう、愛しい人」と夫と共にいそいそと帰って行ってしまいます。残された千作さん、「来年の祭りには呼ばんぞよ〜」と、二人の後ろ姿に言いますが、その後、客席の方を向いて「ふっ」と笑います。本当は舅さん、元の鞘に収まってくれてホっとしてるんだな〜って感じです(^^)。しかし、千作さんのちょっとした表情やしぐさ、絶妙な間はたまりません。その場を持って行っちゃう千作ワールド健在です!

「六地蔵」
 万作さんがすっぱ(詐欺師)で、萬斎さんが田舎者という配役は珍しいです。万作さんのすっぱは、なんか説得力があって、これじゃあ騙されちゃうなあという感じ、それに対して萬斎さんの田舎者のほうが一癖ありそう、途中から気付いてて意地悪しているみたいでした(笑)。3人の仲間が6体の地蔵に化けて行ったり来たりしているうち印相が変わっちゃうドタバタも、今回はいつもより弾けた感じのアドリブ満載(大笑)。こういう動きで見せる演目はホールにもピッタリで、何回見ても楽しいです♪
2008年1月16日 (水) 第41回野村狂言座
会場:宝生能楽堂 18:30開演

素囃子「神舞」
 大鼓:柿原光博、小鼓:幸正昭、太鼓:小寺真佐人、笛:藤田六郎兵衛

「歌争」 何某:野村万作、何某:深田博治

「咲嘩」 太郎冠者:野村万之介、主:高野和憲、咲嘩:石田幸雄

「越後聟」 
 聟:野村萬斎、舅:石田幸雄、太郎冠者:月崎晴夫、勾当:野村万作
   地謡:竹山悠樹、深田博治、野村万之介、高野和憲、岡聡史

素囃子「神舞」
 萬狂言の時に凄い勢いの「神舞」を聴いてしまったから、ゆっくりに聴こえちゃいました(笑)。しかし、久々に六郎兵衛さんの笛が聴けるのが私としては嬉しかった♪

「歌争」
 ある男(万作さん)が友人(深田さん)の邸へ野遊びの誘いに行くと、友人は男を邸に招き入れ、新しく作った庭を見せます。そして、芽を出した芍薬を見て「難波津に咲くやこの花冬ごもり今を春べと芍薬の花」という王仁の歌があると主張し、男に「咲くやこの花」の誤りであると指摘され、大笑いされてしまいます。
 さて、気を取り直して野遊びに出かけた二人。土筆(つくし)が生えているのを見て男が「春の野に土筆(つくづくし)しほれてぐんなり」という歌を詠むと、「ぐんなり」はおかしいと指摘され、慈鎮和尚の歌に「わが恋は松を時雨の染めかねて真葛が原に風さわぐんなり」とあるのだと言い張りますが、それは「さわぐなり」の誤りだと笑われてしまいます。
 すっかりつむじを曲げた男は、友人が以前に相撲で情けない負け方をした時の話を持ち出してからかったので、怒った友人と相撲となり、男は投げ飛ばされてしまいます。

 聞き違い、思い違いで覚えてしまったことを笑われて、悔しくて思わず相手の気に障ることを嘲笑して、喧嘩になっちゃう。よくあることですが、「ぐんなり」はやっぱり可笑しい(笑)。先に友人の間違いを指摘して笑ったものの、自分も後で思い切りやりかえされて、面白くな〜い!なんとか相手をやり込めたいから相撲の負け方をからかって怒らせ、墓穴を掘っちゃう。子供の喧嘩みたいになって、万作さんが何か可愛い(^^)。

「咲嘩」
 これは、何回か観ている演目ですが、この万之介さんの太郎冠者は最高です!主人の真似をして、自分が言われたことを咲嘩にそのままそっくり言ってしまう万之介太郎冠者の主人を見る時の表情や言い方、承知でわざと言ってんじゃろ〜(笑)って感じ。オオボケに見せてしたたか?今にやるぞ、やるぞと思いつつ、期待に応えてくれる反応についつい大笑いです。
 でも、これって、騙そうとした咲嘩を追い返して、こりごりだと思わせるには最高の手じゃないですか。

「越後聟」
 能登の国の舅に越後の聟が聟入りにくるので、姉聟の勾当と一緒に待っていると越後の聟が酒樽と肴、牡丹の枝を携えてやって来ます。三人は盃を交わし、勾当は舞を披露し、獅子舞を所望された越後の聟が身ごしらえのため中座すると、その間、勾当が平家を語ります。準備を整えた聟が再び登場し、めでたく獅子舞を舞うのでした。

 萬斎さんは、先日の「二人袴」の時と同じピンク系の段熨斗目にあの長袴と対のようなピンクと裾が紫の掛素襖に括袴、前に鞨鼓を付けて土産を天秤棒に担いだ出で立ちで登場します。うん、やっぱり綺麗な聟さん(^^)。
 万作さんの勾当の「海道下り」の舞も綺麗で、平家語りもしっとりと聞かせますが、何せ例の(一ノ谷の合戦で、向う者は顎を切られ、逃げる者は踵を切られ、忙しい時なので、顎に踵を付け、踵に顎を付けたら、踵に髭がむくり、むくりと生え、寒くなると顎にあかぎれが出来た)という平家語りですから意味が解っているとやっぱり可笑しい。
 今回は萬斎聟さんの芸づくしがすごく見どころでした。鞨鼓を披露するところでは「鶉舞」を舞います。「木六駄」で太郎冠者が酔っ払って舞う舞ですが、これはちょっとコミカルな感じで楽しく、水車で回転しながら幕入りします。獅子舞の格好で現れると(この姿は能の『望月』と同じ赤頭二枚扇に赤布の覆面姿、ただ、てっぺんに牡丹の花が付いてます)、欄干にひょいと乗ったり、三点倒立に欄干越えと身軽に身体能力の高さを見せるわ見せるわ、型が綺麗な上に難しい技を軽々とやってみせるのには、もう驚きもの!!圧倒されて目福でした♪赤い布で覆われた顔から見える涼やかな目が、かえって印象的でした。
2008年1月13日 (日) 『至高の華』梅若六郎還暦祝賀能
会場:観世能楽堂 13:00開演

ご挨拶:梅若六郎

舞囃子「三笑」
 角当行雄、会田昇、松山隆雄
  大鼓:亀井広忠、小鼓:幸清次郎、太鼓:助川治、笛:松田弘之
    地謡:川口晃平、谷本健吾、松山隆之、角当直隆、山中迓晶

仕舞「胡蝶」山崎正道
  「弓八幡」小野田康陽
       地謡:梅若慎太朗、梅若晋矢、土田晏士、土田英貴

「二人袴」三段之舞
 聟:野村萬斎、親:野村万作、舅:野村万之介、太郎冠者:石田幸雄
   笛:松田弘之、小鼓:幸清次郎、大鼓:亀井広忠、太鼓:助川治

『大般若』
 シテ(怪男・深沙大王):梅若六郎
 ツレ(龍神):梅若慎太朗、角当直隆
 ツレ(飛天):山中迓晶、山中博通
 ワキ(三蔵法師):宝生閑
 間(眷属):高野和憲
   大鼓:亀井広忠、小鼓:幸清次郎、太鼓:助川治、笛:松田弘之
     後見:梅若靖記、山崎正道
       地謡:井上燎治、谷本健吾、松山隆之、会田昇
           松山隆雄、角当行雄、土田晏士、梅若晋矢

 プログラムには無かったのですが、最初に正面の右側舞台下でNHKの葛西アナウンサーの司会で梅若六郎さんのご挨拶がありました。六郎さんは正面席の後ろの扉から入ってこられました。
 『大般若』は、新作・復曲を多く手がけている六郎さんが最初に復曲した曲だそうで、詞章修補をされた堂本正樹さんが梅若家の「真蛇」の面が『大般若』専用の面ではないかということで、『大般若』の復曲を勧められたとのことです。
 プログラムの解説によると深沙大王は、「西遊記」では沙悟浄として書かれ、沙悟浄(深沙大王)が首から下げている7つの髑髏は、前世でも「大般若経」を求めてきた三蔵の命を7度まで奪った際のもので、8度目に至って守護神になった証しだそうです。
 六郎さんは今年もいろいろ挑戦されるようで、上加茂神社でバレエのマイヤ・プリセツカヤさんとコラボされるそうで、『ボレロ』を踊るとか・・・怖いもの見たさで観てみたい(^^;)。

舞囃子「三笑」は、中国の廬山の仙境に閑居する三人の隠士が、訪れた友と酒を酌み交わして興に乗じて舞を舞うという、ゆったりとおめでたい舞ですが、どうも、舞囃子が始まったとたんから眠くなってしまい、仕舞まで、ほと沈没。不覚(^^;)。

「二人袴」三段之舞
 六郎さんの還暦祝いとあって、万作家ベストメンバーによる「二人袴」です。萬斎さんも聟役はそろそろ卒業と言ってから、けっこう「二人袴」の聟をやってますが、今回は白とピンク系の縞の段熨斗目に長袴も同じピンクで裾が紫のものでした。いや〜、萬斎さんの聟さんはやっぱり綺麗だなあと、出てきた時、ちと見とれてしまいました。あとは、おちゃめなコミカルさ全開、万作さんの親もまた、おちゃめで可愛い♪石田さんの太郎冠者が袴の後ろが無いのを見つけた時の最初ちょっとびっくりして、面白がる表情もいいし、万之介さんの鷹揚な舅も、さすがベストメンバーです!楽しくて、可笑しい中にも美しさのある万作家らしい「二人袴」でした。

『大般若』
 三蔵法師が、大般若経を伝来しようと天竺へ向かう途中、西域の流砂川に差し掛かると、怪しい男が現れて、この河は千尋の難所であり、その向こうに岸にそびえる葱嶺も険しく、越えることは困難であると言う。さらに、この河の主は深沙大王といい、姿かたちは恐ろしい怪物であるが、心では仏法を敬っていると語り、実は三蔵は前世でも大般若経を得ようと志していたが、七度までこの地で命を落としてきたのだと語る。そして、実は自分こそ深沙であり、志を試すために今まで命をとっていたが、今度こそ経を与えようと言って姿を消す。三蔵が待っていると眷属が現れ、深沙大王のことを語り、菩薩が現れて舞楽を奏し、大竜、小竜が三蔵を拝する中に大般若経の笈を背負った深沙大王が現れる。笈を開いて三蔵とともに経文を読み上げ、この経の守護神になろうと約束すると笈を与える。三蔵は喜び笈を背負って流砂に向かうと河は二つに割れ、三蔵はやすやすと渡り深沙大王は見送るのだった。

 最初に怪男として現れた時の面は、ちょっと変わったもので、なんという面なのでしょう?いかにも人でない怪しさのある面で、初めて見るものでした。早いお囃子でススっと早く現れるところも普通の人が現れるのと違いました。演目としてはとても華やかで面白いものです。なにしろ後場では天女は出てくる、竜神は出てくる、そして最後に深沙大王の登場。六郎さんは大王のようなどっしりした役がぴったりです。
 今回は、お囃子のメンバーも良くて、気持のいいお囃子でした。
2008年1月6日 (日) 萬狂言 冬公演
会場:国立能楽堂 14:30開演

素囃子「神舞」 大鼓:柿原弘和、小鼓:幸正昭、太鼓:三島卓、笛:一噌幸弘

「末広」
 果報者:山本則直、太郎冠者:山本泰太郎、すっぱ:山本則俊
     大鼓:柿原弘和、小鼓:幸正昭、太鼓:三島卓、笛:一噌幸弘

「松竹ノ語舞」
 松:野村萬、竹:野村万蔵
 笛:一噌幸弘、太鼓:三島卓

新作狂言「鬼は内」作:中谷智喜、演出:野村万蔵、台本補綴:野村扇丞
 男:野村扇丞
 鬼:野村万禄
 豆まき:山下浩一郎、野村太一郎
 鬼嫁:吉住講
 餓鬼:野村虎之介、野村拳之介

「花子」
 夫:小笠原匡、妻:野村万蔵、太郎冠者:野村萬

素囃子「神舞」
 いきなりトップからぶっ飛ばしているような凄い勢いの神舞でした。

「末広」
 今回は山本家の「末広」でした。語尾の上がる発声や始めはゆっくりでツツツと早足のように早くなる運びは山本家独特でちょっと面白い。でも、則直さんが浮かれ出す時に嬉しそうな表情を見せる以外、ほとんど表情や声の調子が変わらないので、まあ、それが山本家の特徴かもしれないけれど、野村家や茂山家の「末広」の方が、やっぱり面白いというのが正直な感想でした。東次郎さんだと、また違う印象になると思いますが。

「松竹ノ語舞」
 これは、プログラムにない番外で上演されたものです。昨年末の「一噌幸弘笛づくし」において新たに創作されたもので、また観られるとは嬉しいかぎりでした。萬さんが松、万蔵さんが竹のめでたさを語り、舞うというもの。萬さんの語りと老松のゆったりした舞、万蔵さんの語りと若竹のような勢いのある舞の対比と二人の双舞が目福。創作にふさわしい幸弘さんの笛の音にも聞惚れました。

新作狂言「鬼は内」
 一般公募の作を基にした新作狂言です、去年から萬狂言で毎回1作ずつ発表していますが、なかなか良くできているものが多いような気がします。

 病気で妻子を亡くし、仕事まで失った男の心の安らぎは妻子の墓参りでした。節分の日、男は墓参りに行きますが、寺では盛大に豆まきが行われています。今年はいつにも増して豆を盛大に撒いていると思ったら本物の鬼が追われて逃げてきます。隠れ蓑で姿を隠した鬼を見失った豆まきは墓参りをしている男を見つけ、「嫌われ者の扇丞だが、一応聞いてみよう」と鬼が逃げてこなかったか聞きますが、本物の鬼が出たとは知らない男は「鬼は町衆がなっているんじゃないか」と言ったので、「やっぱり、聞いても無駄だ」と、豆まきは帰っていきます。そこで、福に見放された男は「鬼は内、福は外」と豆まきを始めます。それを聞いた鬼は男の後について男の家に上がってしまいます。男が薪をくべて暖まっていると、鬼も隣で暖まり、足を上げて暖めたり、後ろを向いてお尻を暖めたりしているうち、隠れ蓑に火が移って「アッチッチ」慌てて隠れ蓑を取ったので、鬼の姿が現れ、男はびっくり!しかし、「鬼は内」と言ったから付いてきたという鬼の話を聞くうち、男は一人より話し相手がいる方が良いと、酒を酌み交わします。鬼にも妻子がいると知って鬼の妻子も呼び寄せ、みんなで歌い踊り「鬼は内、鬼も来る来る、明日も来る」という鬼たちの歌に、最後は男も元気と希望を取り戻して歌いだすのでした。

 万禄さんの鬼が笑えましたね。鬼の面をかけているせいか、いつもと違うドスの聞いた声で、いつものひょろっとした万禄さんに見えませんでした。火に当たるときに、座って両足を上げて火にかざしたり、お尻を向けて暖めてる姿がなんか可愛くて面白い(笑)。鬼の名前が疑心暗鬼というのも笑いました。最後はめでたく正月らしい終わり方で、わーっと面白いというわけではないですが、ほのぼのして良かったです。

『花子』
 小笠原さんの披きですが、アドを萬さん、万蔵さんがやるということもなかなか無いでしょう。今回、小笠原さんの声の良さに感嘆してしまいました。時間も長い演目ですが、全体に丁寧にやっていて好感が持てました。

 万蔵さんも襲名以来、やはり当主の落ち着きと風格が出てきた感じがします。一門の人たちもそれぞれレベルが上がってきたように思いました。