| 2010年6月20日 (日) |
茂山忠三郎・良暢狂言会 |
会場:東急セルリアンタワー能楽堂 13:30開演
?部 「貰聟」 聟:茂山良暢、女房:大藏教義、舅:茂山忠三郎
「蝸牛」 山伏:茂山良暢、主:善竹十郎、太郎冠者:善竹富太郎
附祝言
11時から?部で良暢さんのお話があるのですが、?部の狂言から観に行きました。
「貰聟」 酔っ払っていても飲みたらぬと、不機嫌な様子の良暢聟。家に帰って飲もうとすると、妻に止められ、ますます不機嫌。とうとう妻を怒鳴りつけて追い出してしまいます。和泉流だと、離縁の印の品を貰って泣く泣く帰って行くところですが、打たれて追い出される時、妻は子どものことを聞き、夫が子供のことはお前が気にすることではないと、怒って追い出してしまい、離縁の印を貰っては行きません。翌朝、酔いが醒めて実家に妻を迎えに行く聟さんは、とっても神妙な様子で笑えました。 忠三郎さんは、大分足腰が弱ってしまったらしく、舞台に出てきてもずっと葛桶に座ったままで演技をしていました。でも、忠三郎さんのほっこりした雰囲気、自然な科白、娘が出戻ってきた時の「またか」という言い方や聟が「ふっつりと酒をやめました」と言った時の「ほ〜〜〜」という、あきれ果てた言い方と間が最高(笑)。 最後の聟と舅のつかみ合いは、忠三郎さんが葛桶に座ったままだったので、ちょっとあっけなく、娘が夫の足を取ったり、父親の足を取ったりする場面はできませんでしたが、「愛しい人、こちへおりゃれ」と夫といそいそと帰っていきました。最後は、しかたないなあと、ちょっとほっとした舅の気持ちが「来年の祭には呼ばぬぞよ〜」という科白にこもっていました。 忠三郎さん、声はお元気でしたが、体の方は千作さんより悪そうでちょっと心配です。忠三郎さんの舞台も、まだまだ観たいので、体は大切にして欲しいです。
「蝸牛」 良暢さんの山伏に主人が善竹十郎さんで、太郎冠者が富太郎さんです。どっちかというと、富太郎さんが山伏の方が似合いますが(笑)。ちょっととぼけた富太郎太郎冠者も面白かったです。山伏にからかわれて、蝸牛と間違えて山伏を連れてきてしまう太郎冠者。主人に「あれは、まいす(偽物)だ」と言われて山伏に「おまえは、まいすだろう」と言うものの、すぐ拍子に乗せられてしまいます。最後は主人と二人で問い詰めるのに、主人まで拍子に乗せられてしまい、二人ともハーメルンの笛吹きのように山伏について拍子に乗りながら退場。この山伏は、実際、なかなか法力が強いんじゃないかな(笑)。 |
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| 2010年6月16日 (水) |
千五郎狂言会第九回 |
会場:国立能楽堂 19:00開演
「業平餅」 在原業平:茂山千五郎 茶屋:茂山千作 稚児:茂山竜正、茂山虎真 侍:松本薫 従者:島田洋海、井口竜也、 傘持:茂山正邦 娘:茂山逸平 後見:茂山茂、山下守之
「察化」 太郎冠者:茂山七五三、主:茂山逸平、察化:茂山千三郎 後見:山下守之
「金藤左衛門」 金藤左衛門:茂山千五郎、女:茂山茂 後見:山下守之
開演前にロビーの本やグッズを売っているコーナーで千三郎さんが購入者にサインをしていました。千五郎狂言会ではいつも誰かがサイン会をやってます。
「業平餅」 今回は稚児さんが二人。正邦さんの双子ちゃんが二人揃って稚児さん役で出ていました。初舞台はやっぱり関西なので、今回初めて観ましたが、いつのまにか大きくなってたんですね。謡も科白も大きい可愛い声で元気よく、ホントに可愛いく健気な双子ちゃんに見所も和やかな笑いが広がって、みんなニコニコ。業平と茶屋との掛け合いのときも舞台上に二人とも座っていて、後で業平に挨拶してから切戸口から引き揚げていきましたが、立ち上がる時、長いこと正座していたので、一人が足が痺れてしまったみたいで、やっと立ち上がって、ちょっと歩き方が変だったのが、またご愛嬌で見所の笑いを誘っていました。 茶屋役の千作さん。やっぱり大分足腰が弱くなって、このごろは、座ると介助がないと立ち上がれないので、ちょっと後ろで座っている時は葛桶に腰掛けています。でも、お声は元気。声と表情で十分見せてくれます。 今回の「業平餅」は、今まで観たのと、いろいろ違うところがありました。餅を出されて「代えをくだされ」という茶屋に業平が「代えなら歌を詠もう」というと茶屋が「歌もよけれど、おあしをくだされ」というところで、業平が自分の足を出す場面があるのですが、千五郎さんが「おあし?」と首をかしげると、千作さんが「おあしとは、ちょうもく(お金)のことでござる」と言うので、足を出す場面がなかったこと。それと亭主が娘を連れに行っている間に餅を食べる業平が、あわてて餅を喉に詰まらせ、むせる場面が、全部食べてしまって、なかったこと。これは、山本家でも大藏家でもあった場面なので、科白やタイミングの違いか、千五郎家だけの演出と思われます。 でも、餅づくしの謡いは、ユーモラス。千五郎さん、ホントにお腹が減って餅が食べたい業平のいじましさ、恨めしさが出ていました(笑)。茶屋が「あまりに、いたわしい」と思ってしまう気持ちがわかります。 娘の顔を見て驚く場面では、万作家のフリーズ!に慣れてるので、それに比べて千五郎業平は、かなり控えめな表現で、大きな動きは無く、それでも驚いた表情とこっそり逃げ出す姿で充分に表現しきっていて面白かったです。 傘持ち役は、正邦さんでしたが、途中でごろんと横になって寝てしまう場面や業平に妻を娶らすと言われて、娘の顔を見て思わず尻もちをついて驚く表情など、可笑しくていい味出してました。
休憩時間にグッズ販売コーナーのあたりにお母さんといた正邦さんの双子ちゃん。そのうち、「書いてみな」と勧められたのか、なんと、席に座ってサイン会となりました(笑)。ちゃんとひらがなで自分の名前をサインしてました。
「察化」 主人に都の伯父を迎えに行くように言いつかった太郎冠者が、察化という“すっぱ(詐欺師)”を間違えて連れてきてしまうのですが、太郎冠者が帰って来た時、主人が「都の伯父の住所を教えてなかったので、気になった」と言う科白があって、これは、和泉流ではありませんよね。いつも主人が住所も教えないで使いに出したのに気付かないのかという疑問もありましたが、この科白が、そのあと太郎冠者の「都で呼ばわっていたら、何処へやらか“ひょっ”と現れました。」主人「何、“ひょっ”と現れた?」「伯父ご殿は、そのような軽いお方ではござらぬが?」という科白に繋がって面白かったです。 察化に主人が言ったことをそのまま言ってしまったり、察化の接待をしろと言われて、話している時、「うぐいす」を「ぐいす」と間違えたり、「鷹」を「高」と呼ばれてる人と間違えてトンチンカンなことを言うので主人に叱られ、主人の言うとおりにしろと言われれば、すっかり真似をする。七五三さんの飄々としてトボけた雰囲気がピントのずれた太郎冠者にぴったり(笑)。最後に察化を投げ飛ばして、ちょっと様子を確かめてから、恭しく「ゆるりとお待ちください」と頭をさげるなど、ちょっとした仕草が可笑しさを増して面白い。振り回される千三郎察化もお気の毒でした。
「金藤左衛門(きんとうざえもん)」 この演目は、以前一回くらい観たことがある気がします。 山賊の金藤左衛門が、女を脅して持ち物の袋を奪いとり、中身を確かめて喜んでいる隙に横に置いた長刀を奪われて反撃にあい、女の持ち物ばかりか、自分の小刀や小袖まで剥ぎ取られてしまうという話。 「取りにくい者からは取らず、取りやすい者から取る」と、弱い女を狙うとんでもない山賊、金藤左衛門。でも、長刀を奪って形勢逆転の気丈で強かな女の反撃は怖い!山賊が、反対に身ぐるみ剥がれて、置いて行かれ、最後に「人に施せば、かえってくると言う。これは、どっと笑って帰ろう」と言い、大笑いをするのですが、笑いが泣きになり、すごすごと帰って行く姿が情けなく、自業自得とはいえ、ちょっと可哀そうで、でも、笑えました。
そして、終演後のグッズ販売コーナーでは、今度は七五三さんがサインをしてました。双子ちゃんも一緒にサインしてましたよ(^^)。
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| 2010年6月8日 (火) |
第四回日経能楽鑑賞会 |
会場:国立能楽堂 18:30開演
「二人袴」 親:野村万作 舅:石田幸雄 太郎冠者:高野和憲 聟:野村遼太 後見:深田博治
『湯谷』三段之舞 シテ(湯谷):友枝昭世 ツレ(朝顔):井上真也 ワキ(平宗盛):宝生閑 ワキツレ(従者):宝生欣哉 笛:一噌仙幸、小鼓:成田達志、大鼓:亀井忠雄 後見:塩津哲生、中村邦生 地謡:金子敬一郎、友枝雄人、狩野了一、内田成信 長島茂、出雲康雅、粟谷能夫、粟谷明生
「二人袴」 遼太君の聟に、万作さんが親という配役。遼太君の「二人袴」は二回目くらいかな。どっかで観てるはず、と思って辿ってみたら、もう4年くらい前に萬斎さんの親でやっていました。当時は、中学生くらいだったでしょうか、今は青年らしくなって、若くて初々しい聟さん役が様になってきました。世間知らずで親離れできない息子を心配する親役の万作さんも可愛らしい。石田さんも気のいい舅役がホントに似合ってます。
『湯谷』三段之舞 平宗盛が寵愛する湯谷が老母の重篤を知らせる手紙を受け取り、宗盛に暇乞いをしますが、宗盛は聞き入れず、花見に同行させます。渋々同行する湯谷ですが、酒宴で舞を舞ううち、にわかに村雨が降って花を散らせる様に、母親の姿を重ねた一首をしたためて宗盛に渡します。それを読んだ宗盛は、その歌に感じ入って湯谷に帰郷許すという話です。 この話、宗盛って我が儘でひどい人だと思っていましたが、今回は、プログラムに馬場あき子さんの解説が載っていて、当時、花見の宴というのも重要な行事であり、そこに専属の名ホステスとして湯谷が欠かせなかった事情があり、宗盛個人の我が儘だけではなかったということが書いてありました。そのうえで、湯谷の詠んだ歌に感動しなければ無風流人と思われてしまうことなど。 友枝さんのシテにワキが閑さん、ワキツレが欣哉さん、囃子方のメンバーも素晴らしくて豪勢な配役です。 湯谷の悲しみに沈んだ様子がよく分かり、抑えた演技ながら美しい。母への想いを胸に秘めながら舞う序の舞も美しいゆえに哀しい。突然の村雨に舞をやめて歌を詠み、宗盛に渡して、さめざめと泣く。しおる姿がホントに悲しげで、それが、宗盛の暇を許す言葉で、パっと表情が明るくなり、いそいそと帰郷する。橋掛りで、宗盛にいとまを告げるようにちょっと立ち止まる湯谷。今回もホントに面に表情がありました。 |
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| 2010年6月3日 (木) |
第五回狂言ざゞん座―披きです― |
会場:宝生能楽堂 18:30開演
素囃子「男舞」 笛:栗林祐輔、小鼓:鳥山直也、大鼓:柿原弘和
「釣狐」 白蔵主/狐:高野和憲、猟師:深田博治 後見:野村万作、野村萬斎
「奈須与市語」 破石晋照 後見:野村萬斎
「六地蔵」 すっぱ:竹山悠樹 田舎者:月崎晴夫 すっぱ仲間:野村万作、野村万之介、石田幸雄 後見:深田博治
高野さんが「釣狐」、破石さんが「奈須与市語」の披きでした。
「釣狐」 高野さんの「釣狐」、声が良いので、最初の次第の謡はなかなか良かったです。語りのところは、いつもの高野さんの地声がでちゃった部分もありましたが、後場の狐になってからは、なんか、可愛いくて、時々、見所から笑いが起こるくらい、高野さんらしい狐の可愛さが出てました。もちろん、息が上がって、汗ポタポタの奮闘で、披きはいつもハラハラして観てますが、全体的にしっかり稽古を積んだとみえて、とても良かったです。 猟師役の深田さんは罠のとき方も手際良く、狐との引っ張り合いは力入ってましたね。2度目の猟師役でしょうか、落ち着きもあって安心して観られました。
「奈須与市語」 破石さんは、声量もあり声が良くて、それが最後まで続くかとちょっと心配でしたが、がんばりました。激しい仕方も迫力ある切れの良い動きで良かったです。
「六地蔵」 最後の「六地蔵」は竹山さんのシテで月崎さんのアド、そして、なんと!すっぱ仲間の小アドが万作さん、万之介さん、石田さんの大ベテランチームでサポートするって、とっても贅沢!3人が出て来ただけで笑えたし、3人で6体の地蔵に化けるため、行ったり来たりで、いいかげんなポーズになってしまうところなど、楽しんでやっている感じがして余裕。とっても愉快でした。竹山さんも最近は、堅さが取れて上手くなりましたね。
重い2曲の披きの後に、コミカルで軽い曲で締めるのがバランスが良くて、見応えもあり、良い会でした。 |
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